大乗仏教の誕生 「さとり」と「廻向」

大乗仏教の誕生 「さとり」と「廻向」

1,100円 (税込)

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4.5

人びとを救いのない業報の束縛から解放する、恩寵と救済の宗教――大乗仏教は、どのような思想的変転の中から出現したのだろうか。「さとり」と「廻向(えこう)」という大乗仏教のキーワードを軸に、その独自の論理を解明していく。
「マーヤー夫人の処女懐胎」と「マリアの受胎告知」など、ブッダとイエスをめぐる説話に驚くべき類似がいくつも見られるのはなぜだろうか。本書はまず、仏教とユダヤ教、キリスト教など、西アジアの諸宗教の影響関係を聖典文献学から探る。なかでも、ペルシアに栄えたゾロアスター教がメシア信仰や阿弥陀仏信仰、さらに大乗仏教の成立に与えた影響に着目する。
また、自分の積んだ善業の結果を「さとり」という超世間的なものに転換したり、自己の功徳を他人に振り向けたりする「転換の思想」すなわち「廻向」は、「業も果も本質的には空(くう)である」という「空の思想」に支えられている、という。そして、この阿弥陀仏信仰と「空の思想」を両輪として、大乗仏教は育まれたのである。
原始仏教と他宗教を比較する広い視野から、難解な思想を平易に説き明かす。巻末解説を、チベット学の今枝由郎氏が執筆。
『「さとり」と「廻向」――大乗仏教の成立』(講談社現代新書1983年刊、人文書院1997年刊)を改題して文庫化。

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大乗仏教の誕生 「さとり」と「廻向」 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    歴史上のブッダは本当はどんな人でどんなことを考えていたのか、というのは、とても興味深い問いで、そういう本はたくさん出ている。そういうのがあれば、わりと読んでしまうのだが、何冊か読む中で大体のところが見えてきた。

    で、次なる疑問は、「大乗仏教」はどのように生じたかということで、その辺りの私がまだよく

    0
    2024年03月15日

    Posted by ブクログ

     大乗仏教の話なのだけれど、自分には宗教を求める人間の観点からその歴史を文献と今の自分を撚り合わせて辿るような本だと感じた。 

     前半部分で、キリスト教に出てくる話とジャータカの話の類似性についての研究の歴史がある。文献学と史学的な確かさから影響をしあったことはないようだが、検証の過程で人間が宗教

    0
    2021年07月31日

    Posted by ブクログ

    非常に平易な文章で書かれており、読み易いです。とは言え、ジャーゴンを習得していない門外漢として読み始めたところ、やはり二、三度以上は再読しないと最低限の理解にすら及ばないかなあと感じました。少しずつ再読してみます。ゾロアスター教に幾つかの宗教のルーツがあり、仏教もその揺曳であった、というお話。成る程

    0
    2023年05月03日

    Posted by ブクログ

    多数の経典を元に原始仏教から大乗仏教のおこりを概説。
    前半のキリスト教などの対応の紹介などは余り関心は抱かなかったが、インドにおける他民族侵略の時代背景や修行に専念することが可能な聖者のみに救いの可能性がある小乗から、民衆へ救いの手を広げる大乗へとの繋がりは比較的わかりやすく読めた。
    副題のさとりと

    0
    2022年09月14日

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